“Newclear Divice”は、この最終日だけのセット入り。イントロでベースが入る直前、JJがこの日1番のハイジャンプ!その後は会場内もジャンプの嵐!おどろくほどのタイトなアンサンブルで、原曲をもはるかに超えるテンションだったんじゃなかろうか。途中の「ブルース!」「シーラ!」など特殊な合いの手も、お客さん達バッチリな感じ。そして驚くことに、この曲でも終盤から演奏のテンションがさらに上がる。


 
次の”Peachess”。初期の代表曲のひとつでもあるが、しばらく演奏を封印されていた時期もあった曲でもある。ヘヴィーなリズムセクション、サイケデリックなデイヴの鍵盤さばき、そして完全に曲を手中におさめているバズの存在感が光る。
 
ここでJJとバズがジムに近づき、”Death And Night And Blood”。異様な存在感を放つ”Black And White”スタジオ盤原曲に引けを取らないハイエナジーだ。いかに彼らといえど、ライヴであの原曲を超えるのは難しいのではないか、と今まで思っていたが、もはやそれも覆された。なおこの曲は、今春はセット入りしていなかった曲だ。また、この曲を日本でセット入りさせたことは、JJ、バンドメンバーの特別な思いがあったことだろう。
なお、”Death And Night And Blood”は、近い将来公開が検討されていると聞く、ストラングラーズの歴史を収めた映画のタイトル名にもなっている。フィルムの来るべき正式リリースが待たれるところだ。
 
さらに”Black And White”から、”Toiler On The Sea”。来日初日のオープニング曲でも演奏されている。場内が大いに盛り上がり、またしてもジャンプの嵐。クライマックスではJJがまたもハイキックを一閃!
 
波音が場内に響き、“Freedom Is Insane”へ。”Giants”からの選曲で、春のUKツアーでは演奏されていなかったが、日本でセット入りしてくれて嬉しい。彼らの激しいサウンドと哀愁を帯びたユーロピアンハーモニーが融合された、屈指の名曲だ。ジャン・ジャックもこの曲を自ら、フェイバリット・ソングのひとつに挙げている。

続いては、”Walk On By”。60’sテイストに寄せた最初のカバー時は、演奏自体にリラックスしたムードを感じたものだが、今春のツアーで改めて聴いた時には、大幅に演奏のテンションがあがっていたことに驚いたものだ。そしてさらに、今晩は激しさを増している!デイヴの長尺サイケデリック・ソロは、いつ聴いても素晴らしい。

日本のファンにとってはいわくつきの”Something Better Change”の盛り上がりは言うまでもない。初来日では、この曲を3回(5回?!)連続で演奏したという伝説があるが、じつは実は去年から、もし本当に来日が実現するなら、またこの曲の連続演奏やってくれないかなぁと思ってはいたのだが・・・メンバーにはついぞ直接言い出せなかったが・・・。

新生ストラングラーズのひとつの到達点ともいうべき”Relentless”。この曲をこそ、ストラングラーズの最高傑作に挙げるファンもいると思うし、今回、あらためてその魅力を感じたファンの方々もいただろうと思う。

デイヴのオルガンのイントロとジムのハイハットの刻みで歓声が起き、JJとバズが再びジムの前に接近して“Hanging Around”。中間部インストのバズとデイヴが繰り広げるカウンターメロディーのアンサンブルが見事だ。ロック史上まれにみるカウンターメロディの傑作。
 
そして本編最後の曲、”TANK”が圧倒的音圧で迫る!デイヴのソロパートでは、ジムのドラミングがヒートアップし熱気を煽る、煽る!大団円を迎え、JJが拳をベースに叩きつけながら爆発音で終了、メンバーがいったん退出。


 
熱狂的なコールに迎えられて、バンド再登場。JJ「オツカレサマ!」とあいさつ。バズが、会場にいるみんなへの感謝、関係者への謝辞を述べてから、”We Shall Return!”と、嬉しいメッセージを言ってくれた。
 
アンコール1曲目は”Go Buddy Go”。JJの凄みも健在で、これまた、あのX-CERTSでのヴィヴィドな演奏を彷彿させるものとなった!
もちろん最後のアンコールは、”No More Heroes”!!ライヴでは冒頭、JJが拳をベースに叩きつけるのだが、今回はその時間が長い。JJ、振り上げた拳を見つめ「テッツイ!(鉄槌)」と叫ぶ。デイヴが流麗なソロをこなしながらカップをぐいっとやる仕草も健在。演奏も最高で大盛り上がりだが、これでツアーが終わってしまうという寂しさもあった。このライヴは、曲の途中でさらに演奏のテンションが上がるという現象が不思議と多くみられたが、No More Heroesのラストはさらに別次元で、燃え上がる焔の最後のきらめきのごとくクライマックスは最高潮に達し、ついに3日間の来日公演は終わりを告げた。


 
4人が楽器から離れ、集結し肩を組んで、大歓声に応える。JJ、最後に「どうもありがとうございました!ではまた、のちほど!じゃあね!」とあいさつしステージを去る。終演を告げる”Meninblack”が流れても、多くのファンはすぐに立ち去ろうとせず、爆発的なライヴの余韻がしばらく会場にたちこめていた。

今回の来日、ストラングラーズのライヴが、いかに過去の物差しを当てはめられないとわかってつもりではあっても、春に渡英して聴いた時よりも、バンドはさらにすごい演奏を聴かせたと思う。長年彼らのライヴを見続けてきた海外のあるファンが、バンド史上でも屈指の演奏だったと言っていた、という話も聞いた。これほどまでに素晴らしいパフォーマンスになったのは、いろいろな要因があると思う。
 
今回、メンバーには短期間で、しかも3日連続でのライヴというハードな日程を呑んでもらっている。加えて、英国と日本の時差の体感はすぐには解消がむつかしい。そういった中、お客さん達のパワーが彼らを後押しした要素は確実にあったと思う。長い間来日を待望していた日本のファンの人達。全国色々な場所から遠征いただいたとの話も多数聞いている。英国や豪州から、ストラングラーズを見るためにお金と時間を費やして日本にやってきたファンの人達。みんなのパワーがバンドを鼓舞し、バンドとファンの気持ちが一体となったからこそ、実現できたパフォーマンスだったのだと思う。
 
また、ジャン・ジャック、デイヴ、バズの3人は21世紀初頭から一緒にやってきて、ただ長年やってきただけでなく、お互いに高め合いながらここまで来たのだと思う。バズの話では、オフシーズンでも会わない間隔を開けすぎないよう、一定の間隔でリハーサルをするという「不文律」があると言う。常に進化することを怠らない。それを長年続けてきたという訳だ。実際、春のツアーと今回の来日では、同じ曲でも印象はかなり違っていた。


 
そして、やっぱりジムがますます存在感を増してストラングラーズにますます溶け込んでのは大きいと思った。ジェットのテクニックを受け継ぎ、さらに若くパワフルなエナジーをバンドにもたらしている。さらに、石井達也さんのレビューでは、ジムがバンドメンバーに自由に演奏をできる下地を作っている、との鋭いご見解が述べられている。未読の方は、ぜひご覧いただきたいです(注3)。
終演後、撤収と来賓応対でごった返すバックステージだったが、ジムにこれだけは言っておかなきゃ!と思い彼に話しかけた。自分の拙い英語で彼に述べたことの大意は以下の通り。

「あなたにこれだけは言いたい。今夜のステージは本当に素晴らしかった!自分の考えは、あなたのドラミングが最も大きかったと思う。あなたはジェットからすべてを受け継ぎ、そしてあなたは若くパワフルで、バンドに新たな推進力をもたらしたんだ!あなたは真のストラングラーなんだ!」とね。彼からは感謝の意を伝えられたが、この言葉を額面通りに受け取っていてくれることを望む。自分が言ったことは、社交辞令のお世辞など1ミリたりとも存在しない、本音中の本音なのだから。

ミスター・ジム・マッコーリー、あなたはストラングラーズのバンド史上に燦然と名を刻む、真のストラングラーだ!!!
   
   
       

(注3)石井達也のMIND THE GAPより   The Stranglers live at Tokyo 2nd day
          

 
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